MakeShopからShopifyへの移行には、「商品や顧客のデータを引き継げるのか」「SEOの評価は落ちないのか」「どれくらいの手間がかかるのか」という不安がつきまといます。
移行の判断基準、移せるデータと移せないデータの切り分け、具体的な手順、つまずきやすいポイントとその回避策を順に整理します。読み終えたときには「自分のショップならこう進めればいい」という道筋が描けるはずです。
MakeShop以外のサービスとの費用差やデータ移行のしやすさも比較したい方は、主要サービスを横断して比較したガイドを先に読むと判断がしやすくなります。
この記事の要点
- CSVで移せるのは商品・顧客・在庫。注文の取り込みとギフトカードは対象外
- 顧客の氏名は1項目のまま書き出されるため、姓と名に分割する加工が要る
- CSVはShift-JISからUTF-8への文字コード変換が必須
- 決済は自動で移らない。標準で賄えるのはクレジットカードとApple Pay・Google Pay・Shop Pay
- メールのDNS設定は自分で持ち続ける。ウェブの向き先だけ変えるのが安全
- 同条件の試算では、両者の費用が並ぶ分かれ目は月商およそ326万円。それ未満はShopifyが安い
なぜMakeShopからShopifyへ移るのか(移行先に選ばれる理由)
作業に入る前に確かめておきたいのは、Shopifyへ移ると自分の店の何が変わるのかという1点で、判断材料は大きく3つあります。
今の売り方で何ができていないか、Shopifyなら何ができるか、そのために費用と工数をどれだけかけるかの3つが言葉にできていれば、移行を終えたあとで「結局どこが良くなったのか」と迷うことはありません。
Shopifyが移行先に選ばれる理由(MakeShopとの比較)
移行先を決めるときに最後まで残る迷いは、月々いくらかかるのかという費用の読みにくさと、いま積み上げてきた検索評価を落とさずに移せるのかという不安の、大きく2点に集約されます。
まず費用から。MakeShopは多くの機能を標準で持つぶん設定だけで動く範囲が広い一方、標準を超える要件では有料オプションやカスタマイズが必要になる場合があり、そこが見積もりの読みにくさとして残ります。
Shopifyはこの点で作りが異なり、標準機能の上にアプリやテーマを重ねて広げていく形なので、既存の機能で要件を満たせるなら個別開発の範囲はそのぶん小さく収まります。
アプリには無料のものもありますが、レビューや定期購入のように毎日使う機能は有料の月額制であることが多く、必要だからと積み重ねるほど固定費が静かに上乗せされていきます。順番の問題です。
標準機能とテーマで足りる範囲をいったん見極めてから、足りない分だけをアプリで埋めるという順番を守れば、月額は最初に見積もった水準の内側に収まります。
次がSEO(検索最適化)です。移行後にページのタイトル、メタ情報、URL、画像の代替テキスト、リダイレクトのいずれも管理画面から編集でき、サイトマップ(sitemap.xml)は自動で生成されます。構造化データを含むテーマも多く、独自テーマを使うなら実装の有無を移行前に確かめておくと安全です。
後述する301リダイレクトと組み合わせれば、移行前に積み上げた検索評価は保ちやすくなります。
メリット・デメリットの全体像
メリットは、デザイン自由度の高さ、豊富なアプリによる機能拡張、越境EC・多通貨・多言語への強さです。海外販売やブランドとしての世界観づくりを重視するなら、Shopifyの土台は大きな武器になるはずです。
デメリットは、(1)アプリを積むほど月額が増えること、(2)管理画面の操作や運用に慣れが必要なこと、(3)移行そのものに手間がかかること、の3つ。3つ目の手間は、準備と手順を押さえれば大きく減らせます。
移行すべきかどうかを判断する
移行するかどうかは次の観点で判断してください。当てはまる数が多いほど、移行の効果は出やすくなります。
移行に向いているケース
- 越境EC・海外販売を本格化したい(Shopifyの多通貨・多言語・海外決済が効く)
- デザインやブランド体験を独自に作り込みたい(テーマのカスタマイズ自由度が活きる)
- 外部ツール(在庫・広告・CRMなど)と連携して運用を自動化したい
- 現在のカートの機能・拡張性に頭打ちを感じている
急いで移行しなくてよいケース
- 今のショップで売上・運用が回っていて、具体的な不満が言語化できていない
- 商品点数・受注が非常に多く、移行の検証コストがメリットを上回りそう
- 繁忙期の直前(移行は閑散期に行うのが鉄則)
「移行せずに、今のカートの設定やデザインを見直すだけで解決する」こともあり、移行はゴールではなくあくまで選択肢の一つだと構えて判断すれば、費用や工数だけが出ていく事態は避けられます。
業種別の考え方
- アパレル:サイズ・カラーのバリエーションの持ち方を再設計。SKU数が多いのでデータ整形の比重が大きい。
- 食品・スイーツ:賞味期限・温度帯・のし/ギフト対応など、アプリで補う要素が多い。
- 和雑貨・伝統工芸・インテリア:写真点数が多く、画像移行と商品説明の作り込みが肝。
- コスメ・美容:定期購入(サブスク)を使っている場合、作り直しになる点に注意。
移行前に知るMakeShopとShopifyの構造的な違い
MakeShopとShopifyは設計思想そのものが違うため、移す前にこの違いを理解しておくかどうかで後の手戻りは大きく変わってきます。データを別の場所へ移し替えるだけの作業ではありません。
料金・コスト構造の違い
料金の作りは両者で逆で、MakeShopが主要な標準機能を月額に含むのに対し、Shopifyのプラン料金は入口にすぎません。
そこに決済手数料とアプリ料金が積み上がっていくため月額の安さだけでは比べられず、両社が公表している現行価格で並べます。料金は改定されることがあるため、契約前に公式の料金ページで最新の表示を確認してください。
| 項目 | MakeShop | Shopify |
|---|---|---|
| 月額(基本料金) | 13,750円(プレミアム・税込) | 3,650〜44,000円(プラン別・年払の月額換算) |
| 初期費用 | 11,000円(税込) | なし |
| 決済手数料(カード) | 3.19%〜(別途消費税・makeshopペイメント) | 3.25〜3.55%(標準カード。Amex・海外は別料率) |
| 決済サービスの月額 | 1,650円(税込・makeshopペイメント) | プラン料金に含む(Shopify Payments利用時) |
| 外部決済の取引手数料 | — | 2%/1%/0.6%(プラン別・Shopify Payments非利用時) |
| 機能の追加費用 | 有料オプション・カスタマイズは別途 | アプリで追加(無料/有料・料金体系は様々) |
決済手数料は横並びで比べられません。Shopifyの率は標準カードのものでAmexや海外カードは高め、MakeShopの3.19%〜は下限で課税対象分に消費税が加わります。
初期費用はShopifyが無料でMakeShopは11,000円。月々のコストは月商しだいで前後します。
前提を先にそろえると、すべて標準カード決済、消費税とアプリ費用は除外、MakeShopの決済手数料はプレミアムプランの3.19%で固定した、条件を単純化した目安になります。
この目安だと、月商が小さいうちはShopifyが安く、上がるほど差が縮みます。理由は手数料です。Shopifyベーシックの標準カード3.55%はMakeShopプレミアムの3.19%より0.36ポイント高く、この差が基本料金の差をじわじわ相殺していきます。
両者のコストが並ぶのは月商およそ326万円で、ここを超えるとMakeShopのほうが安くなります。
同じ前提での月額の目安を月商別に並べると次のとおりで、数字はいずれも概算です。
| 月商(税抜) | MakeShop | Shopify(ベーシック) |
|---|---|---|
| 50万円 | 約31,350円 | 約21,400円 |
| 100万円 | 約47,300円 | 約39,150円 |
| 300万円 | 約111,100円 | 約110,150円 |
| 500万円 | 約174,900円 | 約181,150円 |
表でも、分岐点あたりまではShopifyが安く、超えるとMakeShopが逆転していくのが読み取れます。
この326万円を動かす条件は3つあり、まずMakeShopの手数料には課税対象分の消費税が加わる一方、Shopify側には公式に税込・税別の記載がありません。
さらに上位プランなら手数料は下がり有料アプリを入れれば月額は増えるので、自店のカード比率とアプリ費用を見込んだうえで、326万円を出発点に実コストを見比べてください。
価格は税込のまま移す(総額表示)
日本では価格の総額表示が義務です(2021年4月から)。Shopifyも、日本を拠点として新しく開くストアなら商品価格に税金を含める設定が最初から有効と公式ヘルプに明記されているため、この点は基本的にそのまま引き継げます。
念のため移行時に、税の設定画面で税込の価格表示になっていることだけ確かめてください。
注意したいのは価格の入れ方。税抜価格を入れてShopifyに税込を計算させると丸め方の違いで既存の税込価格と1円単位のズレが出ることがあるため、今使っている税込価格をそのまま税込として移すと、この行き違いを避けられます。
デザインの自由度・アプリ拡張性の違い
テーマとアプリを重ねて機能を広げていくのがShopifyの持ち味で、デザインの作り込みも外部ツールとの連携も必要な形に寄せていけます。
裏を返せば「必要な機能は自分で選んで組み合わせる」のが前提で、MakeShopでは標準搭載だった機能がShopifyではアプリ追加になることもあります。移行の前に「今使っている機能は、Shopifyでは標準かアプリか」を一度洗い出しておきましょう。
設計し直しになりやすいカテゴリ構造
移行で最も設計し直しになりやすいのが商品の分類方法で、MakeShopの中心は「大分類→中分類→小分類」のツリー型カテゴリです。
一方Shopifyはコレクションとタグで分類し、コレクションは条件で自動的に商品を集めることができ、1つの商品を複数のコレクションに同時に入れられます。
MakeShopのカテゴリはフォルダのようには移せません。「どういう切り口で商品を見せたいか」を考えて、タグとコレクションに翻訳し直す作業になります。
分類の設計を後回しにするとURL構造もナビゲーションも作り直しになるので、移行の初期に固めてください。
商品バリエーション(色・サイズ)の持ち方も変わる
色やサイズといった商品のバリエーションもそのままの形では移せず、Shopifyでは1つの商品につけられる選択肢(オプション)はサイズ・色・素材など最大3種類までです。
その組み合わせ一つひとつが「バリエーション」です。それぞれに価格・在庫・SKU・画像を持ち、1商品あたり最大2,048通りまで登録できます。
MakeShopの選択肢の持ち方はこれと構造が違うため、移行時はCSVで「色×サイズの1組み合わせ=1行」に展開し直します。
困るのは例外的な商品です。選択肢の軸が4つ以上ある商品(サイズ・色・素材・柄など)や、組み合わせが2,048通りを超える商品は注意が要ります。移行の前に3つの軸へ整理し直すか、オプションを追加するアプリで補うかを決めておくと、あとの作り直しを避けられます。
バリエーション独自コードが未設定だとSKUを区別できない
もう1つ、移行の下ごしらえで効くのがバリエーション独自コードです。MakeShopでは、色・サイズなどのバリエーションごとに独自コード(SKUを識別する番号)を設定できますが、これが未設定のまま運用しているショップが少なくありません。
未設定のままだと、SKU単位の識別が必要な場面で色違い・サイズ違いが同じ商品コードとして扱われます。実際に在庫連携システムのLOGILESSは、バリエーション独自コードが指定されていない商品はSKUとして識別されないことを公式に明記しています。
移行でも同じ問題が出ます。Shopifyはバリエーション1つずつがSKUを持つ構造なので、元データ側でSKUを区別できないと、CSVの展開時にどの行がどの在庫なのか突き合わせられません。
対策は単純で、移行作業を始める前にMakeShop側でバリエーション独自コードを埋めておくことです。エクスポートより先にここを整えると、後工程のCSV加工と在庫の検証がそのまま楽になります。
在庫連携ツールを併用している店は、この整備の進め方にも注意が要ります。ネクストエンジンの公式マニュアルは、MakeShop側でオプション独自コードを直すと在庫連携や受注処理が行えなくなると明記しています。
つまりコードを整える作業そのものが、動いている連携を壊し得ます。連携ツール側の設定変更とセットで日程を組んでください。
決済手段はそのまま引き継げない(Shopify側で組み直す)
決済手段も自動では移りません。ここが見落とされがちな落とし穴です。MakeShopで使っていた決済のうちShopifyの標準決済(Shopifyペイメント)でそのまま賄えるのは、クレジットカードとApple Pay・Google Pay・Shop Payの4つです。
日本のローカル決済は別です。PayPay・コンビニ払い・後払いといった日常的に使われる自動決済は、Shopifyペイメントに含まれません。これらを続けたい場合は、KOMOJUなどの外部の決済サービス(決済代行アプリ)を別途契約して設定する必要があります。
銀行振込や代金引換は、Shopifyの手動決済(注文を見て入金・受け渡しを確認する方式)でも対応できますが、その分の手作業が増えます。
移行の前に、今のショップで使っている決済手段を書き出し、Shopifyペイメントで足りるのか外部アプリが要るのかを確認しておきましょう。公開時によく使われる決済が抜けていれば、行き着く先はカゴ落ち(決済直前の離脱)。
複数のお届け先を1注文で指定する機能はアプリが要る
1回の注文で複数のお届け先を指定する「複数配送先」はMakeShopでは標準機能で最大50件まで指定でき、ギフトやまとめ買いで送り先を分ける店ではよく使われてきました。
Shopifyの標準機能ではこれができません。1つの注文を複数の住所に分けて送るには、複数配送先に対応するアプリを追加する必要があります。
この機能を使っているなら移行前に代わりのアプリと運用を決めておくことで、標準にある前提のまま移行して公開後に「送り分けられない」と気づく事態を避けられます。
予約販売・受注生産は与信期間(オーソリ)の短さに注意
見落としやすいのが期限です。クレジットカードの与信(オーソリ=支払いの仮押さえ)を保てる期間は、Shopifyの標準決済(Shopifyペイメント)で原則7日間。過ぎると与信は自動で切れ、その後に請求すると追加の手数料がかかることもあります。
影響が出るのは、予約販売と受注生産。入荷まで日数がかかるぶん発送の前に与信が切れるので、カート側で長く保持できていた店ほどこの差は大きく出ます。
対処は3つで、発送前にあらためて請求する運用への変更、後払いの用意、与信を取り直せるアプリの導入。いずれも移行前に決めておくものです。
移行できるデータ・移行できないデータ
データはそのまま移せるものと移せないものの2つに分かれ、先に切り分けておけば顧客への案内も計画に組み込めます。
移行できるもの
| データ | 移行の方法 | 補足 |
|---|---|---|
| 商品情報 | CSV/Matrixify | 名称・価格・在庫・バリエーション。カテゴリはコレクション/タグへ翻訳 |
| 顧客情報 | CSV/Matrixify | 氏名・住所・メールアドレス。※パスワードは除く |
| 過去の受注データ | Matrixify等 | 直近分に絞るのが実務的 |
| 商品画像 | CSV内の画像URL指定/先にファイル登録 | 画像はURL参照。事前アップロードが必要な場合あり |
| ブログ記事 | CSV/Matrixify | 記事URLが変わる場合はリダイレクト対象 |
移行できない・そのままでは引き継げないもの
| データ | なぜ引き継げないか | 対処 |
|---|---|---|
| 会員パスワード | 暗号化されており移行不可 | Shopifyはパスワードレスが標準。会員は登録メール一致で再ログイン(旧パスワード式の店のみ有効化メールで再設定) |
| ポイント残高 | ポイント制度はカートごとに別実装 | Shopifyのポイントアプリを導入し、残高を手動/CSVで移す |
| 定期購入(サブスク) | 決済の継続情報は移せない | サブスクアプリで作り直し、顧客に再登録を案内 |
| レビュー | 標準機能でないため | レビューアプリを入れて可能な範囲でインポート |
| クーポン・セール設定 | 実装が異なる | Shopify側で設定し直す |
移せないものがある以上、顧客への通知は避けられません。伝えないまま進めると、移行後に「ログインできない」「ポイントが消えた」という問い合わせが増えます。
過去の注文は標準では取り込めない(マイページに履歴が出ない)
過去の注文データは、Shopifyの管理画面の標準CSVインポートでは取り込めません。標準で取り込めるのは商品・顧客・在庫などのデータです。
ギフトカードと注文は取り込みの対象外です。注文を移すにはMatrixifyなどの外部の手段が必要になります。
ギフトカードのCSVは書き出し専用で、取り込みには使えません。
知らずに標準のまま移行すれば、顧客のマイページに過去の注文履歴は出ません。「前の注文はどこ?」という問い合わせが増えます。過去分をどこまで移すか、あるいは旧サイトを一定期間参照できるようにするかを、移行前に決めておきます。
移行後の会員ログインは「再設定」より「再ログイン」(パスワードレスが標準)
会員パスワードは移せませんが、現在のShopifyの会員アカウントはパスワードを使わない方式(パスワードレス)が標準のため、いま慌てて全員に再設定を案内する必要は多くの店ではありません。
この方式では会員はメールに届くワンタイムコード(数字の確認コード)でログインするので、移行後の会員は登録メールアドレスが一致すれば、あらためてログインするだけで利用を再開できます。
旧来の「パスワード式アカウント」を使っている店舗だけは、従来どおり有効化メールでパスワード設定を促す運用になります。
この場合の有効化メールは、基本は1件ずつ送る形です。全員への一括送信は、CSVインポート時の設定・上位プラン・外部アプリのいずれかが前提になります(この仕様はShopify側で変わることがあるため、移行時点で最新を確認してください)。会員数が多い店ほど、案内の送り方を先に設計しておきます。
定期購入の決済情報は移せない(引き継げる決済会社が限られる)
定期購入(サブスク)を運用している店は、もう1段深い壁があります。カード番号などの決済情報そのものの移行です。
Shopifyの公式ヘルプは、サブスクの決済情報を移行できる決済会社をStripe・Braintree・PayPal Express・Authorize.netの4つに限定して挙げています。海外の決済サービスばかりで、日本のカートで一般的な国内の決済代行はこの一覧に含まれていません。
つまりMakeShopの定期購入をShopifyのサブスクアプリへ移す場合、継続課金の決済情報は持ち越せず、顧客一人ひとりに決済情報の再登録をお願いすることになります。
再登録の案内は離脱と隣り合わせです。定期顧客は売上の土台なので、移行日程の告知・再登録の手順ページ・特典の用意まで含めて、移行計画の早い段階から案内を設計してください。
MakeShopからShopifyへの移行手順
移行は大きく「準備 → データ移行 → 検証 → 切替」の順で進み、データ移行そのものは次の4ステップが基本になります。
手順1:現状データのエクスポート
まずは書き出しから。MakeShopの管理画面で商品・顧客・受注データをCSVにし、画像と現在のURL一覧(後のリダイレクト設計に使う)も同時に控えておきます。
手順2:CSVの加工・マッピング(Matrixifyを使う場合)
書き出した列はShopifyが求める形式と一致しないので、Shopify公式の商品/顧客CSVフォーマットに合わせて列を並べ替え・変換します。
見落としやすいのが文字コードで、書き出されるのはShift-JIS(日本語向けの古い文字コード)とCR+LF改行です。
ところがShopifyの指定はUTF-8とLF改行で、この食い違いがそのまま文字化けになります。
この不一致は文字化けや取り込みエラーの原因になるため、列の並べ替えとあわせて、ファイルをUTF-8で保存し直してから取り込んでください。
商品点数が多い場合や受注データを移す場合は、Matrixify(旧Excelify)という定番アプリの出番。変換・マッピング・一括インポートをまとめて効率化できます。少量ならShopify標準のCSVインポートで足ります。
MakeShopの会員データは氏名が1項目にまとまっていますが、Shopifyの顧客インポートでは姓と名が別の列に分かれています。列名でいうと姓はLast Name、名はFirst Nameです。エクスポートしたCSVは氏名が1つのセルのままなので、取り込み前に姓と名へ分割する加工が必要です。
手順3:Shopifyへのインポート
加工したデータをShopifyに取り込むときは、まずテスト用に少数を入れて表示崩れや文字化けを確認し、問題なければ本番分を投入します。いきなり全件を入れてはいけません。
手順4:データ検証
インポート後、(1)商品の抜け・重複、(2)価格・在庫の数値ズレ、(3)画像の欠落、(4)文字化け、(5)バリエーションの崩れ、を1つずつ確認します。この確認を省けば、数値のズレや欠落に最初に気づくのはお客様です。
公開前は非公開のまま通しで確認する
非公開のまま作り込めます。Shopifyはパスワードページを設定すると一般の訪問者のアクセスを止められます。移行作業はこの状態で進め、商品の表示・送料・自動送信メールをひととおり通しで確認してから、パスワードを外して公開します。
特に決済は、テストモードやテスト用の注文で購入が完了するところまで確かめておくと公開直後の「買えない」を防げるので、表示や文言のチェックもこの段階でまとめて済ませておいてください。
SEO評価を守るドメイン移管と301リダイレクト
移行で最も検索順位に影響するのがURLの変化。MakeShopとShopifyではURL構造が違うため、旧URLへのアクセスを新URLへ301リダイレクトでつなぎます。
設定を怠れば積み上げた検索評価の多くは新URLに引き継がれず、そのまま順位が下がる原因になります。
あわせて新しいサイトマップをGoogle Search Consoleに登録します。独自ドメインを使っている場合は、同じドメインをそのままShopifyへ向け直して使い続けられます(切り替え時のメール設定の注意は後述)。
ドメイン自体を新しくする場合は手順が増えます。Google Search Consoleの「アドレス変更」ツールで、旧ドメインから新ドメインへの引っ越しをGoogleに伝えます。
条件は、旧・新の両サイトを同じGoogleアカウントで所有者として確認しておくこと(ドメイン単位のプロパティが対象)と、旧URLから対応する新URLへ301リダイレクトを設定してあることです。
アドレス変更ツールの案内では、このリダイレクトは最低でも180日は外さずに残すとされています。Googleの一般的なサイト移転ガイドでは、SEO評価をより手厚く引き継ぐ目安として、リダイレクトを1年以上、できれば無期限に保つことを勧めています。
同じドメインのままなら、このツールは不要です。ただし移行で変わる各URLへの301リダイレクト、新しいサイトマップの送信、内部リンクや正規URL(canonical)の確認は必要です。
Shopifyでリダイレクトを張れないパスに注意
URLの引き継ぎで見落としやすいのが、Shopifyには301リダイレクトを設定できないパスがあることです。固定パスの「/products」「/collections」「/collections/all」にはリダイレクトを張れません。「/cart」「/orders」「/apps」などで始まる予約パスも同じです。
さらに、リダイレクトは実際に表示できなくなった(404の)URLからしか効きません。今も正常に開けるURLには効かない仕様です。旧サイトのURL構造がこれらに近いと、標準機能だけでは全部を受け切れないことがあります。
手を打つのは移行の前。旧URLを全部書き出して新URLとの対応表を作り、どれが標準のリダイレクトで救えるかを先に確認しておけば、公開後の404と流入減は防げます。
ドメイン移管でメール(MX)を飛ばさない
ドメインをShopifyへ向けるとき、DNSの管理までShopify側へ移すと、サイトの向き先(Aレコード)だけでなく、メールの受信先を指すMXレコードや送信認証(SPF・DKIM)も置き換わります。独自ドメインでメールを使っているなら、これらを移し忘れた時点で注文通知も問い合わせメールも届きません。
Shopifyはメールの受信を提供していません。DNSの管理をShopifyに移すなら、MX・SPF・DKIMを自分で登録し直す必要があります。
安全なのは、ドメインの接続をAレコードとwww(CNAME)だけShopifyに向け、DNSの管理は今の事業者に残す方法で、こうすればメール関係の設定はそのまま残ってメールが止まりません。
移行にかかる期間・工数の目安
期間は商品数と作業範囲で大きく変わります。ここでいう小規模とは、バリエーションが少なく、外部システムとの連携が無く、CSVの手直しがほとんど要らないケースです。
この3つがそろえば数日〜数週間で終わることもあります。多くの移行は3か月以内に収まり、要件定義や業務再設計まで含む全面刷新なら3〜6か月規模に伸びるのが一般的な目安です。
同じ商品数でもデータの品質と担当する人数で必要な時間は動き、どこを起点にどこを終点とするかでも数字は変わります。
この幅を生むのは、次の4つの作業に必要な時間です。
データ整形
ここが最も時間を読みにくい工程です。商品・顧客・受注のCSVを整えてバリエーションや画像URLを合わせるので、件数とデータの品質しだいで作業量が大きく変わります。
カテゴリの再設計
ツリー型カテゴリをShopifyのコレクションとタグに翻訳し直す工程。単純な移し替えではなく、商品の見せ方そのものを設計し直す部分です。
デザイン構築
テーマを選んで作り込み、必要なアプリを選定・設定する工程で、既存デザインの再現度をどこまで求めるかによって工数が変わります。
テストと本番切替
表示・決済・リダイレクトを一つずつ確認し、公開後の初期対応まで行う工程。急いだ分は公開直後のトラブルとして返ってきます。
移行でよくある失敗とその戻し方
実際の移行でつまずくのはたいてい次の5点で、どれも事前に知っていれば避けられるものばかりです。
受注データを全期間移そうとする
過去の全注文を移すとデータ量が膨れてエラーと検証の負荷が跳ね上がるので、移すのは直近分に絞り、古い履歴は参照用にCSVで保管すれば十分です。
決済の切替に空白期間ができる
公開に間に合わない決済の審査・設定はそのまま「買えない時間」になるので、決済は公開の前に、承認とテスト決済まで済ませておいてください。
送料・配送設定の移し忘れ
送料は自動では移らないため、地域別送料・無料ライン・クール便などはShopify側で設定し直す必要があります。
会員パスワード・ポイントの案内漏れ
パスワードやポイントが移せない前提を顧客が知らなければ、公開直後に問い合わせが集中します。移行前後の案内をセットで用意しておいてください。
公開切替を繁忙期に当てる
アクセスが多い時期の切替はトラブルが起きたときの影響が最大化するので、閑散期や平日の夜間など影響の小さい時間帯を選んでください。
戻せる状態を保って切り替える(ロールバック)
切替当日は旧MakeShopをすぐ止めず、一定期間は並行して残します。あわせてドメインのDNSはTTLを事前に短くしておくと、問題が出たときに素早く元に戻せます。狙いは、問題が出ても元に戻せる状態を保ったまま切り替えることです。
移行直後につまずくShopify特有の初期設定
Shopifyは海外発のプラットフォームですが、まず「ストアの言語」を日本語に設定すれば、管理画面・購入画面・自動通知メールの大半は公式の日本語訳で表示されます。「全部が英語のまま」と身構える必要はありません。
事故になりやすいのは、初期設定をしないまま公開する場合と、設定しても一部だけ残るケースの2つなので、移行後のチェック項目として残りやすい次の4点を押さえます。
テーマ・アプリの文言が英語で残る
ストア言語を日本語にしても、テーマにハードコードされた文言と、アプリが表示・送信する文言は追従せずに残るので、テーマの言語エディタと各アプリの言語設定を個別に確認してください。
氏名の並びが欧米式(名→姓)になる
姓と名は移行先では別の項目になり、差が出るのはテーマの表示と、送り状・配送・会計など外部連携の出力です。
「名→姓」の並びになることがあるため、伝票と宛名の実出力を確認して日本式に揃えてください。
自動送信メールを公開前に確かめる
注文確認や発送通知はストア言語に連動して日本語になりますが、崩れやすいのは自分で編集した文面・差出人名・アプリが送る通知なので、テスト注文を1件通して実物の文面と宛名を目で見てください。
国・通貨・住所・電話の書式を日本向けに
最初に見るのはストアの国・通貨(JPY)・住所フォーマットの設定で、特に決済・配送に関わる項目はズレるとそのまま受注の取りこぼしにつながります。
言語を先に残りは個別に
ストア言語を日本語にして大半を片づけ、残る一部(テーマ・アプリ・外部連携)だけを個別に確認するという順序を公開前チェックリストに入れておくと、公開後に一つずつ気づく事態を防げます。
移行を助けるアプリの選び方
移行で関わるアプリは「データ移行を助けるもの」「日本語化・翻訳」「MakeShopの機能を代替するもの(レビュー・ポイントなど)」の大きく3種類。用途ごとの見極め方を並べておきましょう。
日本語化・リダイレクト・データ移行はアプリで補える
移行作業の一部はShopifyの標準機能で足り、残りはアプリ(機能を後から足す仕組み)で効率化できます。
順番は、まず標準でできることを押さえ、足りない部分だけアプリを足すこと。これだけで月額費用のムダを避けられますし、製品名で選ぶより、どの用途に何を使うかを分けて把握しておくほうが確実です。
- 301リダイレクトは標準機能で足りることが多い:ShopifyはURLリダイレクト機能を標準で備え、旧URL→新URLの転送は基本これで設定できます。件数が多く一括やCSVで管理したいときだけ、リダイレクト系アプリの出番です。
- CSVの取り込みも基本は標準機能:商品・顧客はShopify標準のCSVインポートで取り込めます。注文履歴やメタ情報まで含む複雑な移行でだけ、整形・一括取り込みに強いアプリ(手順2のMatrixify)を使いましょう。
- 日本語化・翻訳:テーマや通知の文言、多言語対応を補うためのローカライズ系アプリ。
- レビュー・ポイント等の機能移設:MakeShop側にあったレビューや会員機能に相当するものを、アプリで代替する。
アプリは月額費用がかかるものが多いので、移行時に入れたら1〜2か月後に棚卸しして本当に要るものだけ残すと、固定費が膨らみません。
移行後の顧客通知と運用・定着
移行のゴールは公開した瞬間ではなく、移せないデータの案内と公開後の運用の立て直しまでが移行です。
既存顧客への通知設計
移行の成否を分けるのは、技術的な作業だけではありません。顧客への伝え方に大きく左右されます。パスワードは引き継げず(多くの店は再ログインで再開、旧アカウント式の店は再設定)、ポイントや定期購入も影響を受けます。
黙って切り替えれば信頼を損なうので、最低限、次の3点を事前と事後に案内してください。
- 事前告知:「◯月◯日にサイトをリニューアルします」「一時的にご利用いただけない時間があります」をメール・SNSで予告。
- 再ログイン/再設定の案内:Shopifyはパスワードレスが標準のため、登録メールでの再ログイン手順を伝える(旧パスワード式の店のみ、有効化メールでの再設定を案内)。
- ポイント・定期購入の扱い:残高の引き継ぎ方法や再登録手順を、専用の案内ページにまとめて誘導。
この事前・事後の案内があるかどうかで、公開直後の問い合わせの量が変わります。
移行後の運用と定着(公開後1か月)
公開は終わりでなく、運用を立ち上げる起点です。Shopifyは「アプリで機能を足して育てる」プラットフォームなので、公開してからやることがいくつか残ります。
- 管理画面・受注処理の運用に慣れる:発送・在庫・顧客対応の日次オペレーションをShopifyの流れに合わせる。
- アプリの棚卸し:入れたアプリが本当に必要か、月額に見合うかを1〜2か月後に見直す。
- 計測の再設定:Google Analytics・Search Console・広告タグを新サイトに入れ直し、数値の連続性を確保する。
公開後1か月ほどは”定着期間”と考え、運用を整える時間を見込んでおくと安心です。
自社で移行するかプロに依頼するか
自分たちで進めるか外部に任せるかは、次の項目に当てはまる数が多いほどプロに任せる価値が上がります。
- 定期購入(サブスク)を使っている:決済の継続情報は移せず、作り直しになる。
- 移したい受注データが多い、または全期間ぶんを残したい。
- 多言語・多通貨、または在庫・CRMなど外部ツールとの連携がある。
- 社内にCSVの加工や管理画面の設定に慣れた人がいない。
- 本業を止めず、公開日を確実に守りたい。
自社でやりきれる場合もあります。これらがほとんど当てはまらず、商品数100点以下・外部連携も少ない小規模なショップなら、標準機能とCSVインポートでの自社対応も十分に現実的です。
すべてを任せる必要はなく、データ移行だけ、カテゴリ設計だけ、と苦手な工程を部分的に外注する手もあります。
費用は進め方や規模しだいです。Shopify公式のガイドでは、月商100万円未満なら初期費用(移行含む)はおよそ30万〜150万円、月商100万〜1,000万円ではおよそ100万〜500万円が目安です。含む作業の範囲によって、金額には幅があります。
会社ごとに含む作業が違うため、データ移行・デザイン・リダイレクト・外部連携を分けて見積もるのが確実で、月額とアプリ料金も別途かかります。
MakeShopからShopifyへの移行に関するよくある質問
MakeShopとShopifyはどちらが売れますか?
カートを替えただけで売上が伸びるわけではありません。売上を決めるのは集客と商品ページの作り込みで、カートはその土台です。
違うのは伸ばすための打ち手の幅です。MakeShopは国産カートらしく標準機能が最初からそろう作りで、Shopifyはテーマとアプリで購入までの導線を細かく作り込んでいく設計です。
いまの伸び悩みの原因が「やりたい施策がカートの制約でできない」ことにあるなら、移行は効きます。集客そのものが足りない場合は、移行しても数字は動きません。
移行にはどれくらいの期間がかかりますか?
商品数と作り込みの深さしだいで、数日〜数週間で終わる例から、多くの場合で3か月以内、業務の再設計まで含む全面刷新なら3〜6か月規模まで幅があります。
時間を食うのはデータの整形とカテゴリの再設計です。特にMakeShopの階層カテゴリをコレクションへ翻訳し直す作業は、商品数が多いほど膨らみます。
日程を組むときは、公開日から逆算するより、データ整形に余裕を持たせた計画にするほうが安全です。
制作会社に依頼すると費用はどれくらいかかりますか?
Shopify公式のガイドでは、月商100万円未満の店で初期費用およそ30万〜150万円、月商100万〜1,000万円の店でおよそ100万〜500万円が目安とされています。
幅が大きいのは、含む作業の範囲が会社ごとに違うからです。データ移行だけか、デザインの作り込みや外部連携まで含むかで金額は大きく変わります。
見積もりを比べるときは、データ移行・デザイン・リダイレクト・外部連携を分けて、同じ範囲でそろえて聞いてください。
過去の注文履歴は移行後も顧客のマイページで見られますか?
標準のままでは見られません。Shopifyの標準CSVインポートは注文データを取り込めないため、何もしなければ顧客のマイページに過去の履歴は出ません。
注文を移すにはMatrixifyなどの外部の手段が必要で、その場合も全期間ではなく直近分に絞るのが実務的です。
「前の注文が見えない」という問い合わせは必ず来ます。どこまで移すか、旧サイトを一定期間参照できるようにするかを、移行前に決めて案内しておいてください。
会員のパスワードやポイントは引き継げますか?
パスワードは暗号化されているため移行できません。ただし現在のShopifyはパスワードを使わないログインが標準なので、多くの店では会員は登録メールアドレスで再ログインするだけで利用を再開できます。
ポイントの残高はカートごとに実装が違うため、そのままは移せません。Shopify側でポイントアプリを導入し、残高を移す作業が別途必要になります。
どちらも顧客への事前案内が要ります。黙って切り替えると「ログインできない」「ポイントが消えた」という問い合わせが集中します。
海外販売(越境EC)を考えている場合は移行の判断は変わりますか?
変わります。Shopifyは多通貨・多言語での販売を標準の仕組みとアプリで組み立てられる設計で、海外販売を視野に入れている店ほど移行の恩恵が大きくなります。
ただし移行作業そのものは、国内販売だけの店と同じです。まず国内の売り場を安定して移し、海外対応は移行後の拡張として段階を分けて計画するほうが、切替時の事故を避けられます。
まとめ:移行チェックリスト
移行の要点は、移せるデータの見極めと、CSVの加工、決済と送料の組み直しの3つに集約されます。この3つを押さえたうえで、次の順で進めれば大きな失敗を避けられます。
- MakeShopとShopifyの違い(特にカテゴリ構造)を理解する
- 移行すべきかを判断する(急がない選択肢も含めて)
- 移せるデータ・移せないデータを切り分ける
- エクスポート→加工→インポート→検証の順でデータを移す
- 301リダイレクトでSEO評価を引き継ぐ(張れない固定パスとMXの扱いも確認)
- 期間は「データ整形とカテゴリ設計」に最も余裕を持たせる
- 失敗しやすい5点を潰す
- Shopify特有の初期設定(日本語化・氏名の順・自動メール)を日本向けに直す
- 顧客に会員の再ログイン(旧アカウント式なら再設定)とポイント/定期購入の扱いを案内する
- 公開後1か月を定着期間として運用を整える
移行は一つずつ確認しながら進める作業の積み重ねで、順に潰していけばMakeShopからShopifyへの移行は完走できます。
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