STORESからShopifyへ移行すべきタイミングと判断基準

STORESからShopifyへの移行では、「商品データはそのまま持っていけるのか」「貯めてきたポイントはどうなるのか」がまず気になります。

この記事では公式の料金で費用を計算し直し、移せるデータと移せないデータの線引き、手順、そしてポイント・ドメイン・解約の注意点まで順に整理します。

STORES以外のサービスも比較してから決めたい場合は、主要サービスを横断して比較したガイドで費用やデータ移行のしやすさを見比べられます。

この記事の要点

  • STORESは商品データのCSV書き出しに対応しておらず、外部ツールか手作業での再入力が必要になる
  • フリープランのまま運営している場合、月商が目安として約18.7万円を超えるとShopify Basic(年払)のほうが合計費用は安くなる
  • STORESロイヤリティでポイントを運用している場合、Shopify連携で移行できるのは保有ポイントのみで、履歴は移行できない
  • ShopifyのCSV取り込みには文字コードや数値の書式に決まりがあり、少量のテスト取り込みから始めると失敗を小さくできる
  • 独自ドメインの他社への移管には事前確認が必要で、STORES公式は具体的な空白期間を明記していない
  • 解約は「事業者の削除」と「アカウントの退会」の2段階で、売上金はオーダー発生から180日で失効する

STORESとShopifyの違いを料金・機能・カスタマイズで見る

STORESとShopifyは料金の考え方が異なるため、月額だけを比べても実態はつかめません。どのプランで運営しているかで結論が変わります。

STORESの2プランとShopifyの3プランを並べると

STORESにはフリー・スタンダードの2プランがあります。Shopifyは3プランで、料金の作りも違います。

プラン初期費用月額クレジットカード決済手数料PayPal等6手段の決済手数料
フリー0円0円5.5%6.5%
スタンダード記載なし3,300円(年払)/3,960円(月払)3.6%4.6%

「PayPal等6手段」はPayPal・あと払い(ペイディ)・atone・楽天Pay・PayPay残高・Amazon Payを指します。決済方法によって手数料率が変わる点に注意してください。

出典:STORES公式の料金ページヘルプセンターのプラン比較記事。料金は改定されることがあるため、契約前に最新の表示を確認してください。

プラン月払年払標準カード
Basic4,850円3,650円3.55%
Grow13,500円10,100円3.4%
Advanced58,500円44,000円3.25%

出典:Shopify公式の料金ページ。セットアップ手数料はかかりません。同じく改定されることがあるため、最新の金額で確認してください。

このほかに大規模事業者向けのShopify Plusがあり、料金は年契約のみで月368,000円からです。

Shopifyには3日間の無料体験があり、その後の3か月間は月150円で試せます。移行の検証だけなら、本契約の前にこの期間で試すのが安全です。

フリープランのままだとどこで費用が逆転するか

STORESフリープランの決済手数料は決済方法により5.5%〜6.5%の幅があります。クレジットカード決済(手数料5.5%)の場合、STORESフリープランの費用は「決済手数料5.5%×月商」のみで、固定費はかかりません。

Shopify Basic(年払)の費用は「3,650円+決済手数料3.55%×月商」です。

この2つの式を月商Sで並べて解くと、0.055S=3,650+0.0355Sとなり、Sはおよそ18万7,000円です。

つまり月商が目安として約18.7万円を超えると、Shopify Basic(年払)の合計費用のほうがSTORESフリープランより安くなります。自分の月商を式に当てはめれば、同じように計算し直せます。

PayPal・あと払い・atone・楽天Pay・PayPay残高・Amazon Payでの決済が多い店舗は、STORES側の手数料が6.5%まで上がるため、逆転点はこれより低い月商で訪れます。

スタンダードプランとShopify Basicはほぼ横並び

クレジットカード決済に限ると、STORESスタンダード(年払3,300円・手数料3.6%)とShopify Basic(年払3,650円・手数料3.55%)の逆転点は月商70万円ちょうどになります。

手数料率の差はわずか0.05ポイントしかなく、月商70万円未満はSTORESがわずかに安く、超えるとShopifyがわずかに安くなる程度の小さな差です。

ただし決済方法によって前提は変わります。PayPal等6手段での決済が多い場合、STORESスタンダードの手数料は4.6%まで上がり、Shopify Basicとの差は約1ポイントまで広がります。決済方法の内訳しだいで結論は変わるため、一律に横並びとは言い切れません。

デザイン・カスタマイズ・拡張アプリの違い

STORESは用意されたテンプレートをもとに、範囲内で見た目を整える運用が基本です。

Shopifyは公式テーマの改変に加え、独自のコードを足したり外部アプリで機能を増やしたりする幅を持っています。実際に移行した運営者からは「STORESのカートボタン機能は拡張性がほとんどない」という声も出ています。

フリープランでは独自ドメインが使えない

STORESの独自ドメインは有料プラン側の機能で、フリープランでは利用できません。

STORES内で取得できるのは.net・.com・.shopの3種類で、取得の初期費用と更新料はかかりません。取得後も標準ドメインは引き続き使えます。

出典:STORES公式マガジンの独自ドメイン解説

この条件の違いは、後述する検索評価の引き継ぎに直結します。フリープランのまま標準ドメインで運営してきた店舗ほど、影響を先に確かめておく必要があります。

STORESからShopifyへ移行すべきタイミング

費用の次に見るのは、いまの運用がどこで詰まっているかです。詰まっていなければ急ぐ理由はありません。

売上が伸びて決済手数料の負担が重くなったとき

STORESフリープランの決済手数料は5.5%〜と、Shopifyの3%台に比べて高めです。

月商が伸びるほど、この手数料率の差が金額として効いてきます。

分かれ目は前の章の式で計算できます。クレジットカード決済が中心なら、フリープランは月商約18.7万円、スタンダードプランは月商70万円が目安です。

毎月の売上がこの目安を安定して超え始めたら、費用の面では移行を検討し始める段階といえます。

デザイン・拡張性の限界を感じたとき

用意された範囲で対応しきれなくなったときも、移行を検討する材料になります。

見た目や購入導線を細かく作り込みたい場合ほど、この差が効いてきます。

テンプレートの調整を重ねても再現できない画面が増えてきたら、限界のサインです。やりたい表現を書き出し、Shopifyのテーマやアプリで実現できるかを先に確かめると判断が早まります。

越境ECやブランド表現を広げたいとき

海外への販売や、ブランドの世界観を細部まで作り込みたい段階でも、Shopifyの拡張性が判断材料になります。

フリープランは独自ドメインに対応していないため、自分の店の住所を持ちたくなった時点でも選択を迫られます。STORES内で有料プランへ上げるか、移行にあわせてShopify側でドメインを立てるかの二択です。

標準ドメインで積んだ検索評価は引き継げないため、独自ドメインへの切り替えは早いほど損が小さくなります。

STORESのまま続けたほうがよいケース

フリープランで費用をかけずに運営できていて、デザインや拡張性に不満がないなら、いま動かす理由は乏しいといえます。

特に商品データの移行そのものに手間がかかるため、規模が小さいうちに急いで移す必要は必ずしもありません。

STORESからShopifyへ移せるデータ・移せないデータ

データ移せるか方法と注意
商品標準では移せないCSV書き出し機能が無く、外部ツールでの抽出か手作業での再入力になる
顧客(会員)情報移せるCSV一括ダウンロードは有料プラン限定・PC専用
注文情報移せるCSVで1回5,000件までの出力に対応
在庫数一部移せる在庫数のみのCSV一括更新に対応(商品データ全体ではない)
パスワード移せない暗号化されて保存されており、そのまま持ち出せない

商品データはCSV書き出しに対応していない

STORESには、商品データをまとめてCSVで書き出す機能がありません。

BASE・カラーミーショップ・MakeShopが商品CSVの書き出しに標準で対応しているのとは対照的です。

代わりの手段は2つあります。1つは外部のスクレイピングツールで商品ページから情報を自動で集める方法、もう1つはShopify用のCSVを手作業で新規に作る方法です。

専用の無料移行アプリや、公式の自動移行ツールは見当たりませんでした。

どちらの方法でも、Shopify側のCSV仕様に合わせる整形が残ります。色やサイズのバリエーションは1商品1行にまとめられず、選択肢の数だけ行を分けて書く仕様です。

出典:Shopify公式の商品CSVインポート解説。バリエーションが多い商材ほど、この行分割の作業量を先に見込んでおきます。

顧客データはCSV一括ダウンロードできるが有料プラン限定

顧客情報はCSVで一括ダウンロードできますが、フリープランでは使えず、有料プラン契約時のみの機能です。

操作もパソコンからに限られます。

書き出せるのは氏名や連絡先といった基本情報が中心です。会員ランクやポイントは別サービスのSTORESロイヤリティ側の管理で、購入の記録は注文データとして別に書き出す構成になります。

顧客と過去の注文の紐付けまで自動で整うわけではありません。どこまで引き継ぐかは、移行方法を決める段階で対応範囲ごと確認しておきます。

注文データ・在庫数は一部CSV対応

注文情報は「オーダーCSV出力」機能で、1回あたり5,000件までまとめて書き出せます。

在庫数についても一括更新用のCSV機能がありますが、これは在庫の数値だけを扱うもので、商品情報全体を書き出す機能ではありません。

パスワードは移行できない

ログインパスワードは暗号化されて保存されており、そのまま別のシステムへ持ち出すことはできません。

移行後はShopifyから招待メールを送り、顧客自身に再設定してもらう流れになります。

この招待メールは、Shopify標準の管理画面では顧客1人ずつ手動で送る仕様です。大量に一括送信したい場合は、Shopify Plusの契約か、Bulk Account Invite SenderやMatrixifyといった専用アプリの導入が必要になります。

STORESからShopifyへの移行方法と選び方

商品データをCSVで書き出せないぶん、方法選びが他社からの移行より重要になります。

専用の無料移行アプリは無く2つの方法から選ぶ

STORESからの移行に特化した無料の公式アプリは見当たりません。

実務上は、外部のスクレイピングツールを使うか、手作業でCSVを新規に作るかのどちらかを選ぶことになります。

移行代行の会社に任せる道もありますが、代行でも移せる範囲は変わりません。パスワードやポイント履歴のように仕組み上引き継げないものは、誰がやっても移せません。

外部スクレイピングツールを使う

商品ページから情報を自動で集めるスクレイピングツールを使うと、数百点規模でも短時間で下準備ができます。

ただし取得した内容は文字化けや項目のずれが起きやすいため、取り込み前の見直しが欠かせません。

ツールが集めてくれるのは商品ページ上の情報までです。バリエーションの行分割や画像URLの列の整形など、Shopify用CSVへの書式合わせは別の作業として残ります。

手作業でCSVを新規に作る

商品数が少ない場合は、Shopifyのテンプレートに沿って手作業でCSVを作成するほうが確実です。

追加の費用はかかりませんが、商品数が多いほど作業時間がかさみます。

Shopifyの公式ヘルプでは取り込み用CSVの見本が配布されています。まず見本に数件だけ入力して取り込みを試すと、書式の誤解を早い段階でつぶせます。

商品数・予算から選ぶ目安

商品数が少ないうちは手作業のほうが、内容を確認しながら進められる分だけ確実です。

商品数が多い場合は、スクレイピングツールで下準備をしたうえで、人の目でチェックする進め方が現実的です。

どちらの方法でも、バリエーションが多い商材は行分割の整形が必ず発生します。単純な商品数だけでなく、選択肢の組み合わせの多さも工数の見積もりに入れておきます。

STORESからShopifyへの移行手順【6ステップ】

STORESの移行で最初に立ちはだかるのは、商品データという「素材」そのものを自分で作る工程です。他社移行のような単純な書き出し・取り込みの繰り返しにはなりません。

  1. 商品データを外部ツールか手作業でShopify用CSVに整える
  2. STORESから顧客・注文データをCSVで書き出す
  3. Shopifyへデータを取り込み、件数と内容を突き合わせる
  4. テーマを選び、デザインとページを整える
  5. 決済・送料・ポイントの扱いを決めて設定する
  6. ドメインを切り替えて公開する

STEP1 商品データをShopify用CSVに整える

STORESには商品CSVの書き出し機能が無いため、6ステップの中でここが最も時間を要します。

外部ツールで下準備をした場合は、価格・在庫数・画像の並びに誤変換が無いかを1点ずつ見比べてから、次のステップへ進みます。

作成時の注意は2つです。ファイルは文字コードUTF-8で保存すること、バリエーションは選択肢ごとに行を分けることです。つまずきやすい書式の詳細は、後述のよくある失敗の章で扱います。

STEP2 顧客・注文データをSTORESから書き出す

こちらはSTORES側の機能で完結します。顧客情報はCSV一括ダウンロード(有料プラン限定)、注文情報はオーダーCSV出力(1回5,000件まで)で取り出せます。

パスワードはこの書き出しに含まれません。顧客への再設定案内は、この段階で文面を準備しておくと後工程がスムーズです。

STEP3 Shopifyへ取り込み件数を照合する

取り込み後は必ず件数を数え、STORES側の元データと一致するか照合します。一部の行だけエラーで弾かれ、残りは登録済みという状態が起こり得るためです。

全件を一度に入れる前に、数件だけのテスト取り込みを挟むと、書式の誤りが小さいやり直しで済みます。

特にSTEP1で作った商品データは、価格・在庫数を数件サンプルで目視確認しておくと、入力ミスの早期発見につながります。

STEP4 テーマとページを整える

テーマを選定し、トップページと商品ページの表示を確認します。

特定商取引法にもとづく表記のような必須ページも、このタイミングで作成しておきます。

STEP5 決済・送料・ポイント連携を設定する

決済手段を有効化し、送料の条件を入力します。

STORESロイヤリティでポイントを運用中の店舗は、連携する・しないの方針をこの段階で確定させておきます。判断を先送りすると、公開後に会員対応が後手に回ります。

ポイントを引き継ぐ場合、ロイヤリティのデータ移行は有償で、公式の案内では見積もり10万円からです。この費用も移行予算に織り込んでおきます。

STEP6 ドメインを切り替えて公開する

最後にドメインの向き先をShopifyへ変更し、公開に進みます。独自ドメインの場合は、旧URLから新URLへのリダイレクトもこの段階で設定します。

切り替え直後の数日は、注文と在庫の動きをこまめに確認してください。

移行にかかる期間と工数の目安

STORESからの移行は、他社からの移行と比べて工数の内訳が偏ります。書き出し作業がまるごと存在しないぶん、代わりの再入力作業に時間が寄っていくためです。

商品数の目安作業時間の目安主な内訳
〜50点1〜2日手作業でのCSV作成が現実的
51〜300点3〜5日スクレイピングツール+目視チェック
301点〜1週間以上ツール抽出後の項目ずれ・画像URL整理に工数がかさむ

商品データを人力で埋め直す分の時間

他社サービスからの移行なら、書き出したCSVの列を並べ替えるだけで済む場面が多くあります。STORESの場合はその前段階、つまりCSVそのものを作る作業から始まる点が大きな違いです。

外部ツールで抽出した場合も、価格や在庫数、画像の並びに誤りがないかを1点ずつ確認する工程が欠かせません。この確認作業の重さが、他社移行との体感時間の差につながります。

見た目づくりとテスト運用にかける時間

テーマ選びと画面づくりは、商品データの整形が一段落してから着手するほうが手戻りが少なくなります。デザインを先に固めてしまうと、商品情報の見直しで配置が崩れることがあるためです。

テスト注文・自動送信メールの確認、切り替え当日の見守りにもそれぞれ数日を見込んでおきます。注文が少ない時間帯を狙って切り替えると、想定外の不具合が出たときの影響を小さく抑えられます。

作業時間とは別に、顧客への告知の準備も並行して進めます。パスワード再設定の案内とポイントの扱いの告知は、文面づくりだけでも先に済ませておくと切り替えが遅れません。

STORESからShopify移行でよくある失敗と対処法

つまずく箇所はある程度決まっています。先に知っておくと原因を探す時間を減らせます。

商品データの再入力に想定より時間がかかる

商品CSVの書き出し機能が無いことを移行の直前に知り、スケジュールが崩れるケースがあります。

日程を組む段階で、この制約を先に織り込んでおきましょう。

スクレイピングで取得したデータに文字化けや項目ずれが残る

外部ツールでの自動取得は速い一方、価格や在庫数がずれたまま取り込まれることがあります。

本番の前に、少ない件数での試し取り込みを1回はさむのが近道です。

CSVの文字コードと数値の書式で取り込みに失敗する

Shopifyの取り込みは文字コードUTF-8が前提で、別の形式で保存したファイルは商品説明などが文字化けします。表計算ソフトでそのままCSV保存すると別の文字コードになりやすいため、保存形式を毎回確かめます。

価格や在庫数の列に通貨記号やカンマ区切りが入っていると、その行は数値として読まれずエラーになります。数字だけを入れるのが原則です。

在庫関連の列は、一部だけ埋めると不整合として弾かれることがあります。在庫ポリシーの列には「deny」か「continue」のどちらかを入れる仕様です。

出典:Shopify公式の取り込み時のよくある問題。数件のテスト取り込みで、これらは事前に洗い出せます。

パスワードが引き継げず顧客が離脱する

ログインパスワードはそのまま移行できないため、顧客には再設定が必要になります。

移行前に案内を出しておかないと、そのまま離れてしまう顧客が出ます。

ポイント残高の扱いを決めずに進めてクレームになる

ポイントを継続するか終了するかを決めないまま切り替えると、残高について問い合わせが集中します。

先に方針を決め、告知の文面まで用意しておけば、この混乱は避けられるものです。

移行でSEO評価を引き継ぐ方法

検索からの流入がある場合、ドメインの種類によってできることが変わります。

独自ドメインの場合はリダイレクトを検討する

独自ドメインで運営していた場合、Shopify側のURLリダイレクト機能で旧URLから新URLへの転送を設定できます。

リダイレクトが機能するのは、旧URLがすでに存在しないページになっている場合だけです。ページがまだ表示される状態だと転送は働かないため、切り替え後は旧ページを削除するか非公開にしてから設定します。

標準ドメインのままだと引き継げない

標準ドメイン(stores.jpで終わるサブドメイン)のまま運営していた場合は事情が異なります。

このアドレスの所有権はSTORES側にあり、解約すると住所自体が失われるため、検索評価を引き継ぐ意味のあるリダイレクトは実質的に設定できません。

フリープランは独自ドメインに対応していないため、フリーのまま運営してきた店舗はこのケースに当てはまります。移行後は新しいドメインで評価を積み直す前提で、主要ページから内容を整えていきます。

STORES取得ドメインの移管には事前確認が必要

STORESで独自ドメインを取得している場合、それを他社のサービスへそのまま持ち出せるとは限りません。

移行を経験した運営者の間では、解約後に別のサービスでそのドメインを使えるようになるまで、一定期間待たされたという報告があります。STORES公式は具体的な期間を明記していないため、断定はできません。

着手前に、いま使っているドメインの管理元と移管条件をSTORESへ確認しておくと、公開が止まる期間を避けやすくなります。

実際の移行者からは、複数のドメインが並んだ結果、集客が分散したという振り返りも公開されています。どのドメインを本拠地にするかは、移行前に1つへ決めておくのが安全です。

Shopify移行後の決済・ポイント・送料の再設計

決済とポイント、送料は、移行にあわせて設計をやり直す部分です。

決済手段はそのまま引き継げない

決済の契約は移行できないため、Shopify側で新たに申し込み直します。

いま使っている決済手段のうちどれが必要かを、先に整理しておくと設定が早く進みます。

見落としやすいのは入金の流れです。STORESの振込は通常は翌月末で、翌日振込のスピードキャッシュを使う場合は1.5%からの手数料と1回275円の振込手数料がかかります。

移行後の入金サイクルは契約する決済サービス側の条件で決まるため、切り替え月の資金繰りとあわせて確認しておきます。

STORESロイヤリティのポイントを引き継ぐ場合の制約

STORESネットショップ自体にはポイント機能が標準搭載されていません。ポイントは「STORESロイヤリティ」という別サービスで管理する仕組みです。

このSTORESロイヤリティはShopifyとの連携に対応していますが、いくつか制約があります。

移行できるのは「保有ポイント」だけで、獲得や利用の内訳を示す「ポイント履歴」は移行の対象外です。

個々のポイントに設定されていた有効期限も、そのまま引き継がれるわけではありません。移行日を起点として、ロイヤリティ側で設定した日数分だけ一律で延長される仕様です。

また、ポイントを移行するにはShopify側で顧客が会員登録済みである必要があり、未登録の顧客分のポイントは対象から外れます。

すでにShopifyを運用中の店舗がSTORESロイヤリティへ後から連携する場合、注文情報を移す仕組みは用意されていません。新規にShopifyを導入する場合は、外部アプリ経由で注文情報を登録すると自動で連携される流れになります。

このデータ移行は有償サービスで、公式の案内では見積もり10万円からとされています。会員ランクの移行も、Shopify側に会員情報が登録されていることが前提です。

出典:STORESロイヤリティ公式のShopify連携時データ移行の解説

送料設定の考え方の違い

送料の条件はサービスによって考え方が異なります。

細かく送料を設定していた場合、Shopify側でどう再現するかを移行前に確認しておく必要があります。

移行直後につまずくShopify特有の初期設定

Shopifyはカナダ発のサービスで、初期設定のままでは日本の商習慣に合わない部分が残ります。ここではSTORESからの移行者が見落としやすい4点を挙げます。

海外仕様のまま残る表示設定

氏名の表示順が初期設定では名→姓の欧米式になっており、伝票や宛名で違和感が出やすい部分です。

価格表示も初期状態では税別表記のことがあるため、国内の商習慣に合わせて税込の総額表示へ切り替えておきます。公開前にテスト注文を1件通し、氏名の並びと価格表示の両方を実際の画面で確認しておくと安心です。

カード決済の与信期限を出荷リードタイムに合わせる

クレジットカードの与信(一時的な利用枠の確保)には有効期限があり、期限を過ぎると決済をやり直す必要が生じます。

受注生産品や予約商品のように出荷まで日数がかかる商材ほど、この期限切れが起きやすくなります。自店舗の出荷リードタイムと与信期限の関係を、移行前に確認しておきます。

テーマ・アプリの表示言語を先に統一する

導入したテーマやアプリの管理画面・注文メールに、英語表記がそのまま残っていることがあります。

まず全体の言語設定を日本語へ切り替え、それでも残った箇所だけを個別に直します。個別修正を先に行うと、あとから言語設定を変えたときに上書きされ、二度手間になります。

STORESの他サービス(レジ・予約・決済)は影響を受けない

STORESはネットショップのほかに、店舗レジ・予約受付・決済代行など複数のサービスを提供しています。ネットショップだけをShopifyへ移行しても、レジや予約で使っているアカウント・設定はそのまま独立して残ります。

例外はポイント(STORESロイヤリティ)です。ネットショップの決済先が変わることで連携の手続きが必要になります。詳しくは後述の「決済・ポイント・送料の再設計」で扱います。

自社で移行するかプロに依頼するか

STORESからの移行は、商品CSVをゼロから作る作業が入る分だけ、他社からの移行より要求される技術水準が上がります。判断基準もそこを軸に考えます。

自社で対応できるか見極める基準

外部ツールでの抽出結果を見直し、Shopify用のCSVへ組み直せる担当者がいるかどうかが分かれ目です。他社移行のような「書き出したCSVの列を並べ替えるだけ」では済まない点を踏まえておきます。

商品数が少なく、社内に作業時間を確保できる担当者がいれば、自社対応でも十分に間に合います。

依頼する場合は見積もりの範囲をそろえる

商品データの再構築だけを依頼する場合と、デザインの作り込みまで含めて依頼する場合とでは、費用の幅が大きく変わります。

複数社に見積もりを取るときは、対象範囲を同じ条件でそろえないと単純比較ができません。

見積もり依頼時に伝えておくべき前提条件

商品データがCSVで書き出せないこと、パスワードとポイント履歴が標準では引き継げないことは、最初に伝えておくと見積もりの精度が上がります。

商品点数のおおよその件数、使っている決済手段、送料の設定条件も併せて渡しておくと、やり取りの往復を減らせます。

ポイントを引き継ぐ場合は、STORESロイヤリティ側の有償移行の費用が代行費用とは別枠で発生し得ます。この枠を見積もりに含めるかどうかも、最初に確認しておくと後の食い違いを防げます。

STORESの解約タイミングと注意点

解約はShopify側が動いていることを確かめてから進める、戻せない操作です。

事業者削除→アカウント退会の2段階

STORESの解約は1回の手続きでは終わりません。その事業者で利用している他の全サービスを先に利用終了したうえで「事業者(ショップ)の削除」を行い、そのあとで「アカウントの退会」に進む2段階です。

アカウントを退会せずに残しておけば、同じアカウントで新しい事業者を始めることもできますが、過去に使っていたデータの復元や再利用はできません。

売上金は180日で失効する

売上金は、注文が発生した日から180日以内に振り込まれないと自動的に失効します。

振込先口座が未設定のままだったり、最低振込額に届かない状態を放置したりすると、この期限に触れやすくなります。

解約を検討し始めた時点で、未振込の売上金が残っていないかを確認しておくと安心です。

期限を過ぎて失効した場合は、STORESのサポート窓口への連絡が必要になります。通常の振込は翌月末のため、最終注文分の入金を確かめてから削除に進むと確実です。

具体的な待機日数はSTORES公式から確認できなかった

退会の手続きから完了までにかかる具体的な日数は、STORESの公開情報からは確認できませんでした。

事前に振込や残高の確認を、STORES側の最新の案内で行うことをおすすめします。

STORESからShopifyへの移行に関するよくある質問

STORESの商品データはCSVで書き出せますか?

書き出せません。STORESには商品データをまとめてCSVで書き出す機能が公式に用意されていません。

BASEやカラーミーショップが標準で書き出しに対応しているのと違い、STORESからの移行では商品データを自分で用意する工程が発生します。

外部のスクレイピングツールで集めるか、手作業でShopify用のCSVを作るかの二択です。どちらでも、数件のテスト取り込みから始めると失敗が小さく済みます。

STORESロイヤリティのポイントはShopifyに引き継げますか?

保有ポイントだけは引き継げますが、ポイント履歴(獲得・利用の内訳)は対象外です。

有効期限も個別には引き継がれず、移行日を起点にロイヤリティ側の設定日数分だけ一律で延長される仕様です。移行にはShopify側での会員登録が前提で、未登録の顧客分は対象外になります。

移行前に会員登録を促す告知を出しておくと、対象から外れる顧客を減らせます。

ポイントの移行に費用はかかりますか?

かかります。STORESロイヤリティのデータ移行は有償サービスで、公式の案内では見積もり10万円からです。

移行代行の会社へ支払う費用とは別枠になるため、見積もりを取る段階で予算に含めておきます。

運用状況によって移行の可否や条件が変わるため、早めにSTORES側へ確認するのが安全です。

移行にはどれくらいの期間がかかりますか?

商品数しだいですが、数十点なら数日、数百点を超えると1週間以上が目安です。

STORESには商品CSVの書き出し機能が無いため、他社からの移行より商品データの準備に時間がかかります。ここが全体の期間を左右します。

作業とは別に、パスワード再設定やポイントの扱いなど、顧客向けの案内づくりの時間も並行して見込んでおきましょう。

独自ドメインはそのまま使えますか?

他社で取得して管理しているドメインなら、Shopify側に設定して使い続けられます。旧URLからのリダイレクトも設定できます。

一方、STORESで取得したドメインは他社への移管条件が公式に明記されていません。解約後しばらく使えなかったという実務者の報告もあります。

着手前にドメインの管理元を確かめ、移管の可否と手順をSTORESへ問い合わせておくのが確実です。

パスワードは引き継げますか?

引き継げません。ログインパスワードは暗号化されて保存されており、そのままの形では移行できません。

移行後の顧客はShopifyからの招待メールでパスワードを再設定します。この招待は標準の管理画面では1人ずつ送る仕様です。

顧客数が多い場合は、一括送信に対応した専用アプリの利用も含めて、案内の段取りを先に決めておきます。

STORESはいつ解約すればいいですか?

Shopify側で注文から発送までが実際に回っていることを確かめてからにしてください。削除した事業者のデータは元に戻せません。

解約は事業者の削除とアカウントの退会の2段階で、売上金はオーダー発生から180日で失効します。

未振込の売上金が残っていないかを確認し、振込を済ませてから手続きに進むのが安全です。

まとめ:移行チェックリスト

STORESからの移行で最初につまずきやすいのは、商品データをまとめて書き出す機能が無いという前提です。この制約を織り込んだうえで、費用・ポイント・ドメイン・解約までの流れをチェックリストとして順に並べます。

  1. いま使っているプランを確認し、フリープランなら費用逆転点(月商約18.7万円)を目安にする
  2. 商品データの移行方法(外部ツールか手作業か)を商品数とバリエーションの多さから決める
  3. 移せないもの(商品CSV・パスワード・ポイント履歴)を洗い出し、顧客への告知を準備する
  4. 顧客・注文データをSTORESから書き出し、Shopify用に整えて取り込む
  5. 数件のテスト取り込みで文字コードと数値の書式のエラーを先に洗い出す
  6. 決済・送料・ポイント連携の扱いを決めて設定する
  7. ポイントを引き継ぐ場合は、有償移行の費用と会員登録の前提を確認する
  8. 独自ドメインか標準ドメインかを確認し、移管条件をSTORESへ問い合わせる
  9. ドメインを切り替えて公開し、リダイレクトとサイトマップを設定する
  10. 未振込の売上金が残っていないか確認してから、STORESの解約手続きに進む

商品データの移行方法とポイントの引き継ぎ方は、他社からの移行と最も違う部分です。着手前にここを必ず確認してください。

直営EC年商1億円 通算売上3億円 構築実績100件

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この記事の執筆者

ShopiCrew ライターチーム

私たちは直営ECで年商1億円超を運営しながら、これまでに100件超のShopifyストア構築を手がけてきたチームです。自社でも店舗を運営しているからこそ分かる、売上に直結する設定や運用の勘所を、実務目線で記事にしています。通算売上実績は3億円超。現場で得た知見をもとに、実際に手を動かせる情報だけをお届けします。